2005年11月20日

高橋尚子、リベンジ成る!2日前の“不安説”は何だったの?

051120高橋尚子ゴール.jpg彰.jpg

11月13日 来週、いよいよ高橋尚子が       
      東京国際女子マラソンに出場します

11月18日 高橋尚子の“肉離れ”と強行出場

観ないでおくつもりが、気になって観てしまいました。
意思が弱いな。

スタート直後の午後12:30の気温は10.5℃で、
ゴール時の気温は10.0℃、
2年前の23.7℃と比較すると、走りやすい気温でした。

高橋は右脚ふくらはぎをテーピングしていましたが、
終始にこやかで、余裕が感じられました。

表情が明るいのは、
待ち望んでいたスタートラインに立てる喜びなのか、
自信満々なのか、
脚の痛みがどの程度なのかは、
スタート前は全く読み取れませんでした。

日本人の招待選手ゼッケン32「堀江 知佳(24歳、アルゼ)」と
34「疋田 美佳(29歳、アルゼ)」は不出場でした。

スタートの号砲が鳴り、
最前列の高橋は「接触・転倒」のリスクを免れ、
無理することなくペースメーカーの直後に取り付くことが出来ました。

ペースメーカーはロシアの2選手で、
「5km17分00秒のペースで30kmまで誘導」
という契約だったようで、
1kmを3分28秒という、ゆっくりした入りでしたが、
高橋と外国人招待選手が早くも集団を形勢し、
高橋以外の日本人は市川 良子(29歳、テレビ朝日)だけでした。

1kmを3分28秒というペースは、
・ 3km 10分24秒
・ 5km 17分20秒
・ 42.195km 2時間26分17秒
という、
最近のスピードマラソンでは考えられないようなスローペースです。

「脚が痛い」高橋にとっては、理想的な入りになりました。

高橋のフォームは、シドニー五輪の時と比較すると、
腕振りの角度を幾分鋭角気味に抱えるようになり、
歩幅も若干狭くなったような感じを受けました。

5kmを17分01秒で通過しました。

天満屋の松岡理恵は、早くも第2グループに控えています。

高橋は、肩に力みがあるようで、
何度も腕を伸ばし、リラックスしようとします。

さすがに、自身が再起を図り、
大きな注目を集めているレースですから、力んでも当然でしょう。

9km地点で、上位入賞が期待された
ミハエラ・ボテザン(28歳、ルーマニア)が
早くも先頭集団から脱落し、先頭集団は8人になります。

10kmを33分48秒で通過します。

5km〜10kmまでの5kmは16分47秒と、
幾分スピードアップしていますが、
100mで、わずか0.3秒の違いでしかありませんから、
“平均ペース”のままで、
脚を気にする高橋にとっては理想的な展開です。

高橋は、脚を気にするそぶりは全くありません。

11km地点で、マーラ・ヤマウチ(32歳、イギリス)が脱落します。

15kmは50分41秒(この間の5kmは16分53秒)で通過し、
ここでペースメーカーの1人(タチアナ・ペトロワ)が
止めてしまいました。

この時点で、ペースメーカーを除く先頭集団は、
・ 31 高橋尚子
・ 1  アレム(エチオピア)
・ 2  ザハロワ(ロシア)
・ 5  李 銀貞(韓国)
・ 7  ジビレ・バルシュナイテ(リトアニア)
の5人になっていました。

この時点では、ザハロアの走りが重く、
身体がブレていましたので、脱落を予期させました。

高橋とアレム(エチオピア)、李(韓国)の3人の争いを予感させました。

20kmは1時間7分分44秒(この間の5kmは17分02秒)と、
依然として淡々とした平均ペースで通過します。

中間点を過ぎて、ザハロワ(ロシア)が苦悶の表情になり、
集団から離されて行きます。

高橋は、慎重に脚に負担をかけないように
折り返しポイントをUターンします。

折り返し後、高橋は何度か後ろを振り返りました。

これは、後続の確認(どういう選手が、どのあたりにいるか?)で、
自信のなさから振り返るものとは違い、
“勝負”を意識していることが理解できました。

この時点でも高橋は脚を気にするそぶりが見えませんので、
「坂を上がりきってから抜け出すのかな?」
と予感させました。

24km地点で、
ジビレ・バルシュナイテ(リトアニア)と李 銀貞(韓国)が遅れ出します。

25kmは1時間24分49秒(この間の5kmは17分05秒)と、
計ったように淡々とした平均ペースで通過します。

ここで、ペースメーカーの(アレフティナ・イワノワ )が止め、
ペースメーカー不在になりました。

ここで、
集団から脱落しそうなジビレ・バルシュナイテ(リトアニア)が盛り返し、
ペースメーカーの代わりに平均ペースのまま先頭を引っ張ります。

アレムが直後の2番手、
高橋は先の2人をマークするように3番手に付けます。

30kmは1時間42分23秒、
この間の5kmは17分29秒)と、ペースダウンしています。

給水所でジビレ・バルシュナイテ(リトアニア)が3番手に下がり、
ついに脱落かと思わせましたが、またまた先頭に出て引っ張ります。

バルシュナイテの実力からすると、予想以上の大健闘で、
高橋・アレムという世界的な強豪を相手に
無理して先頭を引っ張るのは、むしろ「無謀」で、
日本陸連かファイテンから
ペースメーカー不在後の、ペースメーカーを務めるように
「金でも握らされたのかな?」
と思わせるほどでした。

バルシュナイテ(リトアニア)は
2週間前にブタペスト(ハンガリー)でのハーフマラソンに出場し、
1時間10分23秒でリトアニアの記録更新をして、
絶好調で東京国際マラソンに出場していたのです。

折り返し後の高橋は余裕が感じられましたが、
30km過ぎから高橋の後ろかかとの高さが、
左脚と比べて、右脚がコイン1枚分くらい低いようにも感じられ、
36kmから始まる上り坂と2年前の悪夢がよぎって、
早めのスパートはせずに
「アレムとの一騎打ちで、競技場手前までもつれ、高橋が抜け出す」
ことを予感させました。

35kmを2時間00分00秒(この間の5kmは17分37秒)と、
淡々としたペースで通過します。

35.7km地点で、高橋が弾けるようにスパートします。

アレムとバルシュナイテ(リトアニア)も、
高橋の脚のことを知っていましたし、
上り坂の手前なので、油断し意表を衝かれたのだと思います。

高橋のスパートは、
1km3分10秒程度のスピードに急にギアチェンジしたので
弾けたように見えたのです。

それまでのスピードと比較すると、100mで2秒も速いので、
あっという間にアレムとバルシュナイテを置いてゆきました。

スパートをかけている間、高橋は何度か振り返りますが、
これは
「今のスパートでどのくらい離れたのか?」
「誰が追ってくるのか?」
「追ってくる相手の表情・余裕はどうか?」
という確認でしょう。

場合によっては、追いつかせて、
再度スパートをかける「2段階」の用意もあったのかもしれません。

それくらいの破壊力ある見事なスパートでした。

・ 34km〜35kmの1kmは3分23秒
・ 35km〜36kmの1kmは3分21秒
・ 36km〜37kmの1kmは3分21秒
・ 37km〜38kmの1kmは3分22秒
と、上り坂なのに、ロングスパートをかけ続けます。

高橋の右脚は、
後ろに蹴ったかかとの高さが幾分低いようにも見えますが、
引きずる程ではないし、
何より“王者”の貫禄が出ていましたので、もう心配無用でした。

ゴールは2時間24分39秒と、
記録的には低レベルなものに終わりました。

2位には大健闘のバルシュナイテ(リトアニア)が
36秒遅れの2時間25分15秒で入り、
3位にアレム(エチオピア)、
4位にザハロア(ロシア)が盛り返して来ました。

ザハロアのスタミナと粘りは、なかなかのものです。

何度もケガに泣かされ、
挫折しそうになった状態を努力で克服した高橋は立派で、
彼女の
「止まった時間が、また進む」
ことは本当に良かったと思いますし、
夢を与えられる数少ないスポーツ選手であることも
再認識させられました。

ただ、「完全復活」というより「復調途上」というのが、
今日の印象です。

観ていて、ハラハラ・ドキドキというより、
痛々しいところがありました。

今日のレースは来年のドーハ・アジア大会の国内代表選考会の1つ
となっていますから、
高橋は優勝したことで、おそらく「当確」のはずです。

次元の低いマスメディアは、アテネでの選考漏れ後、
高橋を「袋叩き」にしたことも手の平を返し、
今後のスケジュールとして、
  ドーハ・アジア大会での優勝→世界選手権でのメダル→
  北京五輪代表(→ラドクリフとの一騎打ち)
と明日の新聞紙上に掲載されることでしょう。

3日後の11月23日(水曜)には、国際千葉駅伝大会に
ラドクリフ(イギリス)やヌデレバ(ケニア)が出場します。

彼女たちが、今日の東京国際女子マラソンに出場しないことは、
高橋にとってラッキーでした。

つまり、日本陸連がラドクリフやヌデレバなど
世界の強豪を招待しなかったことに感謝しなければなりません。

また、23日の駅伝の日本チームには、
ヘルシンキ世界陸上の女子マラソン代表の
大島めぐみ(しまむら)も出場予定です。

大島も今日の東京国際女子マラソンの日本人招待選手に
選出しなかったことも感謝しなければなりません。

今日のレースは、本当に「強豪不在メンバー」だったのです。

日本陸連は、高橋に「アテネ選考漏れ」の借りがあるので、
それを「強豪を招待しない」ことで、借りを返したことになるわけです。

今日の高橋は全盛期の頃を100とすれば、70くらいでしょうか。

次のマラソンで80くらい、その次に90くらい、
とレベルアップして、北京五輪に出場出来れば良いですが、
日本代表になるにも、
・ 野口みずき(まだグローバリー)
・ 渋井陽子(三井海上)
・ 坂本直子(天満屋)
・ 原裕美子(京セラ)
・ 大島めぐみ(しまむら)
・ 千葉真子(豊田自動織機)
・ 大南博美(トヨタ車体)
あたりと競い合い、切符は3枚ですから、
復調途上の今日の様子では、
「まだまだ道は険しい」
はずです。

2日前の“肉離れ”の発表だって、今日の走りを見る限り、
単なる練習のし過ぎによる「筋肉痛」程度だったのではexclamation&question
と「負けたときの言い訳」と思われてもしょうがないです。

正直なのは良いことですが、高橋は“プロ”なのですから、
正々堂々と望んで欲しいと思います。

今日は、女子ゴルフでも宮里藍が前日3位から7アンダーで回り、
逆転優勝してしまいました。

今日の高橋といい、宮里藍といい、
一流選手はチャンスをモノにしますね。


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Tracked: 2005-11-20 22:09